ザ・ブルード 怒りのメタファー

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あらすじ:精神医リードは、人間の怒りや不安と言った感情を肉体的な苦痛に置き換える実験を行っていた。少女エッガーは彼の実験台であり、彼女の怒りは腹にできた大きな腫瘍に還元される。そして溜まった怒りが具現化し、小人のようなフリークスとなって腫瘍から生れ出るのだ...。


 

この作品の監督はデヴィッド・クローネンバーグなんですが、「ザ・フライ」とか「ビデオドローム」など有名作品を撮っている監督にしてはかなりマイナーな作品です。かなりB級で理解に苦しむ部分は多いですが、かなり怖い作品です。すでに才能を感じられます。

 

ちなみにこのあらすじかなり間違ってます。まず、精神科医はリードではなく「ラグラン」で少女エッガーは「人妻ノラ」。精神的疾患を肉体的苦痛に変えるんじゃなくて、腫瘍など表面化させて薬で治すという治療法を研究しています。しかもこのあらすじほとんどネタバレに近いです。

 

この作品の恐怖はあのフリークスがどうやって作られたかってところなんですが、思いっきりあらすじで書いたら恐怖も半減ですね。

 

もうあらすじでほとんどネタバレしているんでボクもネタバレしちゃおうかな(笑)

 

最初、むさ苦しいおっさん2人の演劇みたいなシーンから始まります。ヒゲのおっさんが小太りのおっさんに向かってパパなんて言っているので「何だ?この演劇は?」って思ってましたが、これが治療のデモンストレーションだったようです。父に捨てられたヒゲ面の父に対するトラウマが水疱瘡のように皮膚に現われます。これを薬で治せばトラウマも消えるという画期的な治療法のようです。

 

この小太りの精神科医ラグランの元へ妻ノラを入院させている主人公フランクがやってきてノラが娘キャンディを虐待しているからもう面会はさせないと文句を言いにきます。この時は過去になにがあったのかわかりませんが、ノラがノラの母親から虐待を受けていてその反動でキャンディを虐待したから精神科に入院させているらしいです。

 

ラグランがノラの治療のために目の前に現われますが、ノラは「誰?」って聞きます。すると「お前の母だよ」ってラグランが答えました。「え〜〜っ?」って感じです。どう見てもおっさんなのに母だよって言っただけで母に見えるなんてどんな設定なんだ?って思ったいたら、ノラは完全にイッちゃってるみたいで人物の識別が出来ないほど重症みたいです。

 

母と思い込ませてノラの治療を始めるラグランですが、ノラは暴力を振るった母親に対する怒りを言い始めます。するとキャンディの面倒を見に来た母親の元に何者かが現われ母親を殺してしまいます。あとで子供だってわかるんですが、最初のドアをぶち破る時にゴム手袋をした大人の手がモロ映ってます。この手を見たときに完全に大人だと思ったので子供が出てきた時にはかなりガッカリしました。せめて手が映らないように気をつけて欲しかったです。

 

母親が死んで葬式に離婚した父親が来た頃、ラグランはノラの前に父親として話を聞きます。すると父親は自分が虐待受けているときに助けてくれなかったと怨みをぶつけます。するとその日の夜父親が死んでしまいます。父親の前に駆けつけたフランクの目の前を小さな子供が走り去ります。子供を追いかけ捕まえた途端子供は死んでしまいます。

 

警察で子供の解剖をしていたら奇形児であること眼は白黒でしか見えないこと背中に栄養の袋があることなど不思議な点が多く発見されますが、最大の謎はヘソが無いことです。ヘソが無いので分娩では無く何者かに作られた可能性がある、人間ですらないというわけのわからん展開になります。

 

この時点では宇宙人かクローンかと思いましたがもう死んだので解決したんだなと思いました。ところが甘かったです。キャンディの面倒を見に来ていた幼稚園の先生ルーシーがフランクと浮気していると疑われノラの怒りを買い殺されてしまいます。この時子供が2人に増えていました。

 

この子供2人がキャンディを隠れ家に連れていくとき3人で手をつないで歩いていくシーンがあるんですが、とっても微笑ましい感じになってます。そしてこのシーンでキャンディの分身がこの子供たちだなって気が付きます。

 

ラグランはノラが怒りをぶつけた人が次々と殺されていくのを知り怖くなって病院を閉鎖してしまいますが、ノラだけは研究対象として手放さずそばにおいておきます。ノラが怒ると子供が暴れるのはわかりましたが、どうやって子供を増やしているのかがまだ明らかにされません。

 

ラグランがフランクに真実を話し次に殺されるのはラグラン自身なので殺されないようにノラの怒りを静めてほしいと頼みます。フランクはノラの前に現われまた一緒に暮らしたいと説得しますが、ノラの真実の姿を見た時に言葉が出なくなります。

 

このシーンが一番怖かったです。それはお腹の腫瘍の中に赤ちゃんができ歯で腫瘍を食い破って赤ちゃんを取り出すんです。そして動物のように赤ちゃんに付いた血を舐め取るんです。この時の眼が怖いです。完全にイッちゃってます。今まで大したメリハリもなく話もよくわからないまま見てましたが、終盤でこのインパクトはスゴイです。

 

このインパクトのあとどんなエンディングを迎えるのかと思ったら、フランクがノアの首を絞めて殺して終わりです。「えっ、終わり?」って思わず言ってしまいました。でもシーンが続くのでまだなんかあるだろうと思いながら見ていましたが、キャンディにも腫瘍ができて終わりでした。

 

なんか拍子抜けでしたが、子供を産むシーンは強烈でしたね。今流行のCGではなく作り物なんですが、この作り物がリアルで怖さを出していると思います。80年代の良きホラーの実力を垣間見たような作品です。

星3つ


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